商標登録
国内商標登録

EUでは、欧州共同体における商標・意匠の全体の登録機関である欧州共同体商標意匠庁(OHIM)に出願する方法と、各国に直接出願する方法とがあります。今回は、OHIMに出願する方法について説明します。

(EU加盟国:27か国(2007現在))

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/eu/map_05.html

OHIMでは、一つの出願(CTM出願)が登録されることで、EU加盟国の全体において商標の保護を受けることができます。これをCTM(Community Trade Mark(欧州共同体商標)といいます。

・国際出願(マドプロ出願)のように、登録されればEU全体に効力が及ぶため、一出願で大きな効果を得ることができます。また、EUの全加盟国へ出願するよりも安価で出願でき、登録されれば更新等の手続も一度で済みます。

・いずれかの加盟国で使用をしていれば使用義務を果たしていることになります(不使用取消の対象期間:5年)。

・出願が拒絶されたとき、例えば、使用の予定のない加盟国で異議が認められた場合であっても全体として拒絶されてしまいます。

・相対的拒絶理由(類似性)の審査がされずに公告されるので、同一又は類似の商標が数多く併存することとなり、異議申立を受ける可能性があります。

 CTM出願は、出願書類の提出先として、OHIM又は加盟国の登録官庁のいずれかが認められています。出願の際の使用言語は、英語等EUで使用されている言語が認められていますが、第二言語を選択しなければなりません(英語・フランス語・ドイツ語・スペイン語・イタリア語)。

 なお、保護対象国を限定することはできないので、指定国を指定することはできません。

 OHIMは、各出願に対して、引例となり得る先行のCTM登録又は出願等の相対的拒絶理由(類似性)を調査し、そのサーチレポートが出願人へ送られます。これに対して、出願人が意見を述べることはできません。

 日本とは異なり、絶対的拒絶理由(識別性)のみが審査されます。なお、相対的要件(類似性)については職権では審査されず、下記異議申立があった場合のみ審査されます。

 絶対的拒絶理由としては、識別力を有していない、商標の定義に該当しない、公序良俗に反する等があります。このような商標に該当するときには拒絶理由通知を受け、これに対して意見書・補正書により応答可能です。

 出願に係る商標に識別性がない部分が含まれているときには、その部分について、審査官からディスクレーマーを要求されることがあります、これは、識別性のない部分については独占権を行使しないことを条件に商標登録が認められるものです。全体的に、OHIMにおける識別性の判断は厳しいようです。

 絶対的拒絶理由が解消しなければ拒絶査定となり、審判を請求して反論することが可能です。

 一方、拒絶に対して争うことせずに、CTM出願をEU加盟国の国内出願に変更することもできます(拒絶~3カ月)。

 登録の可能性があると判断されたときには、出願公告されます。公告後~3カ月間異議申立が可能ですが、先行する類似商標の所有者等、申立をできる者は一定の者に限られています。

 異議申立がなされると2カ月間のクーリングオフ期間与えられ(延長可)、この間に出願人は異議申立人と交渉を行うことができます。異議申立をされても和解で解決することが多い一方、交渉でもめると長引く傾向にあるようです。

 なお、異議申立の理由としては、相対的拒絶理由(類似性)のみで絶対的拒絶理由(識別性)は根拠となりません(無効理由となる)。

 異議申立がなかったときや異議申立が拒絶されたときには、登録査定となり、登録料の納付を条件に登録されます。その効力は、EU加盟国全体に及びます。

 CTM出願の大多数は6ヵ月以内に登録されるようです。

 また、存続期間は出願日~10年です。